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養子縁組と相続税対策

 養子縁組と相続税対策に関する法的なポイント

 

 養子縁組は相続税対策として一定のメリットがありますが、法的にはいくつかの制限や留意点が存在します。

 

1. 相続税法改正による制限

 昭和63年の相続税法改正により、「相続税の計算を行う際の」法定相続人の数に含める養子の数に制限が設けられました。

 具体的には、被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合には2人までとされています。

 これは相続税の計算上の制限であり、民法上の養子縁組の効力や養子の相続人としての地位とは無関係です。

 

2. 相続税法第63条による否認規定

 相続税法第63条では、「相続税の負担を不当に減少させる結果となる」と認められる場合、税務署が養子の数を否認し、相続税の課税価格や税額を更正できるとされています。

 具体的には、節税目的での養子縁組が否認される可能性があります。

 相続税の負担軽減以外の養子縁組の目的が見当たらない場合、否認される可能性があります。

 

3. 微妙な文言と立証責任

 相続税法の文言には「相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合」といった微妙な表現があり、具体的な基準が定められていません。

 税務署が否認するためには課税庁が立証責任を負いますが、実際には難しい判断が伴う可能性があります。

 

4. 養子縁組の目的と相続税対策

 平成29年1月の最高裁判決で「節税目的だからと言って、そのことだけで即、養子縁組の意思が無かったとは言えない」とされました。

 節税の動機と養子縁組の意思は併存しうるとの結論です。

 ただし、税金対策だけでなく、将来的なトラブル防止や関係者の理解を得るために、縁組の意思や目的を事前に説明しておくことが重要です。

 

5. 贈与税の特例の対象者

 養子になることで、贈与税の特例の対象者にもなります。

 年齢や具体的なケースによりますが、相続時精算課税贈与、住宅取得資金贈与、教育資金一括贈与、結婚・子育て資金一括贈与、暦年贈与の特例税率などが適用される可能性があります。

 

6. トラブル防止と注意が必要

 養子縁組は税務上のメリットがある一方で、トラブルの原因ともなり得ます。

 他の実子などが事後に不満や不安を抱くことがないよう、事前に縁組の意思や理由を明示し、関係者とのコミュニケーションを大切にすることが求められます。

 総じて、法的なポイントを理解し、専門家のアドバイスを得た上で慎重に進めることが重要です。