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相続税の税務調査は「任意調査」

1: 相続税の税務調査は「任意調査」

 税務調査には、「強制調査」と「任意調査」があります。

 強制調査は犯罪調査の色合いが強く、通常の税務調査とは異なります。

 通常の税務調査とは、一般的には任意調査を指しています。

 ここでは任意調査について触れておきます。

 

 任意調査における「実地(隣宅)調査」と「反面調査」

 任意調査には、「実地(隣宅)調査」と「反面調査」があります。

 実地調査には、大きく分けて次の3つがあります。

1.聴取調査:

 相続人から、被相続人の生活状況、財産状況等について聴取し、申告内容に誤りがないかを確認します。

2.現況調査:

 被相続人の自宅の中の状況について、書類の保管場所、金庫、タンスの引き出しなどを確認します。

3.現地調査:

 相続税の申告書に記載された不動産等を確認するために、実際に現地に足を運ぶものです。

 

 一方、「反面調査」とは、相続人等の当事者以外の金融機関や取引先などに対して行うもので、文書による照会や直接出向いての調査があります。

 反面調査は、その相続に関して直接関係のない立場の者が受けるものであり、業務に支障をきたしたり、自分の内容も調査されるのではないかと思い、迷惑だと受け取られることから、無闇に行うものではなく、実施には次のような要件が義務付けられています。

 

 客観的に見てやむを得ないと認められる場合

 合理的必要性と納税者の私的利益の保護との視点に立ち、社会通念上相当と認められる範囲内で行うこと

 調査の便宜のみにとらわれて、納税者の業務に必要以上の支障を与えることのないように配慮すること

 

2: 相続税の税務調査で相続人が準備すること

 相続税の税務調査は、あくまでも任意調査です。

 通常は、税務署の調査官が何の前触れもなく、税務署の調査官がいきなりやってくることはありません。

 ほとんどの場合で事前の連絡があり、ある程度、日程等について納税者の都合を配慮してくれます。

 税務調査の時期としては、おおむね申告書提出後から1~2年ほどの間に行われます。

 被相続人はとうに亡くなっていて、残された人たちも相続関係の整理がついて落ち着き始めた頃にやってくるので、少し慌てるかもしれません。

 税務署から連絡があった場合は、できるだけ冷静に対応するようにしてください。

 まずは、調査官の所属先、名前、調査の日程等を確認し、税理士と相談しましょう(通常、関与した税理士と相続人の代表に連絡が入ります)。

 そして、調査の当日は、調査を効率的に済ませるために、次のような準備をしておくことをお勧めします。

 

 書類の準備

 相続税の申告に関係のあるすべての書類を整理し、聴取を受ける予定の部屋にまとめておきましょう。

 あちこちの部屋に分散していると、調査官の要請のたびに取りに行ったり、場合によっては調査官がその部屋まで同行することがあります。

 

不動産関係: 

 土地・建物登記済権利証、固定資産台帳、実測図、公図、賃貸借契約書、外国不動産関係書類など

過年分申告書:

  所得税申告書、贈与税申告書、関連する法人税申告書など

金融関係: 預貯金通帳、