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土地の価格形成において異なる価格指標

 土地の価格形成において異なる価格指標が存在し、それぞれが異なる側面を示します。

  • 土地価格の複数の側面:

 通常、商品には1つの価格が付くとされる「1物1価」の経済の原則がありますが、土地においては「1物4価」または「1物5価」とも表現され、異なる利用目的から複数の価格が存在します。

実勢価格:

 実勢価格は市場において売り手と買い手の合意に基づいて成立した価格で、「時価」とも呼ばれます。

 売り急ぎや買い進みなどの特殊事情が含まれることがあり、情報不足や思惑も影響を与える可能性があります。

  • 地価公示価格:

 地価公示価格は国土交通省が定め、毎年1月1日時点の地価を一般に公表する価格です。

 地価公示法に基づき、不動産鑑定士が評価を行い、取引事例や収益見通しなどを考慮して決定されます。

 公示価格は通常の自由な取引において成立する価格を示し、相続税路線価や固定資産税評価額の指標となっています。

  • 公示価格の役割:

 公示価格は相続税や固定資産税の評価に使用される重要な指標であり、公的な評価の中心的な役割を果たしています。

 土地価格が多面的であり、異なる価格指標が異なる側面を反映していることを理解し、それぞれの価格がどのように形成されるかについてです。

  • 基準地価格(都道府県地価調査):

 都道府県が毎年7月1日時点の地価を公表する価格で、地価公示と同様の方法に基づいています。

 都市計画区域外の土地も対象となり、広範囲の地域をカバーします。

  • 相続税評価額(相続税路線価):

 相続税や贈与税の計算の基礎となる評価額で、路線価は国税庁が毎年1月1日時点の価格を公表するもので、市街地の土地を1㎡当たりの価格として表示します。

  • 固定資産税評価額:

 固定資産税の計算の基礎となる評価額で、全国各市町村の固定資産税課税台帳に登録された1月1日時点の土地や建物などの評価額です。3年ごとに見直されます。

  • 公的価格のバランス:

 土地基本法において、公的価格のバランスを取ることが明示されています。

 具体的には、公示価格や基準地価格に対して、相続税路線価は80%水準、固定資産税�価額は70%水準といった各公的価格のバランスが図られています。

  • 土地基本法の役割:

 土地基本法は、土地に関する基本理念を定めており、公正な地価の形成と課税の適正化に資するために国が様々な価格を公表し、その相互の均衡と適正化を図ることを明示しています。