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任意後見制度は

 任意後見制度は「制限行為能力者制度」をカバーする仕組みであります:

 

 制限行為能力者制度:

  • 制限行為能力者の種類:

 制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人(補助人の同意を要する行為の定めが置かれた場合)の4種類が定められています。

 制限行為能力者は、家庭裁判所に審判を申し出て認定されます。

  • サポート役の付与:

 制限行為能力者には、判断力に応じて後見人、保佐人、補助人がサポート役として付けられます。

 後見人は法定後見人と任意後見人の2種類があり、本人が選べるのは任意後見人です。

 

任意後見制度:

  • 任意後見契約:

 本人と任意後見受任者が公正証書により任意後見契約を結びます。

 本人の判断能力が低下した場合、申立権者が家庭裁判所に任意後見監督人選任の申し立てを行い、確定したときに任意後見契約の効力が発生します。

  • 移行型の任意後見契約:

 本人が判断能力が低下する前に任意後見受任者に委任して事務を行い、判断能力が低下した際に家庭裁判所に任意後見監督人選任を申し立て、契約を移行させる方法があります。

  • 信託との併用:

 不動産信託と任意後見制度を併用することで、本人の判断通りに生活や財産を管理できます。

 利益相反を避けるため、信託会社には別の人や弁護士法人に依頼することが検討されます。

  • 後見事務の範囲の自己決定:

 任意後見人は委任事務(後見事務)の範囲=代理権の範囲を自分で決定できる点が法定後見と異なります。

 

 注意事項:

  • 意思決定の自由度:

 任意後見人が本人の意思通りに契約や事務を進めることが期待できます。

 制限行為能力者の本人が事前に生活や介護内容、財産管理の方法などを自分で決めておくことが重要です。

  • 信託と任意後見の同時契約:

 不動産信託と任意後見制度は同時に契約することも可能であり、利益相反を避けるための検討が必要です。

  • 身上監護についての注意:

 任意後見人への委任は法律行為の代理に過ぎず、身上監護とは異なります。介護や生活の世話は含まれません。

 このように、制限行為能力者制度に基づく任意後見制度は、本人の判断力が低下した場合に自分の意思を継続的に反映させるための仕組みです。