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家族信託を用いた場合

 家族信託を用いた場合と用いない場合での法的な違いに焦点を当て、特に認知症対策において家族信託がどのように影響するかについてです。

  • 法的違い:

 家族信託を用いた場合は信託法が関係し、用いない場合は民法が関係する。信託法は特別法であり、一般法である民法よりも優先される。

  • 信託契約の締結と認知症:

 信託契約は家主(大家さん)と資産管理者(通常は家族の世代)の合意に基づいて成立する。しかし、認知症になると契約を締結する能力が低下し、契約が無効になる可能性がある。

  • 契約の証明:

 契約内容を証明するためには、口頭ではなく契約書を残すことが重要。

 特に、認知症の場合は契約締結時の大家さんの正常な状態を証明する必要がある。

  • 公正証書の重要性:

 信託契約を公正証書として作成することで、大家さんが認知症でなかったことを証明しやすくなる。

  • 不動産所有権の分離:

 信託契約により、不動産の所有権が名義と受益権に分離される。

  • 家族での話し合いの必要性:

 家族信託を組む前に、家族で十分な話し合いが必要。

 相続税の節税や資産運用についての内容も含めて明確にする必要がある。

  • 悪徳商法への対策:

 大家さんが認知症になった場合に、悪徳な商法に巻き込まれるリスクがある。

 取り消しは原則可能だが、資産管理者には取り消し権がないため注意が必要。

 

裁判所の関与:

 家族での話し合いが不足していた場合や契約が無効と主張された場合には、裁判所が関与する可能性がある。

 話し合いを重視して裁判を避けるべきとされている。