· 

後見制度の3つの選択肢

 「後見制度」には「法定後見」と「任意後見」、そして「家族信託」の3つの選択肢があり、それぞれに特徴があります。

 

判断能力の有無:

  • 法定後見:本人の判断能力が著しく低下している場合にのみ利用可能。
  • 任意後見:本人が判断能力を保持している段階でも利用可能。
  • 家族信託:本人がしっかりしている時点からでも利用可能。

身上監護(身のまわりの法律行為):

  • 法定後見:本人の身上監護が含まれる。
  • 任意後見:身上監護は含まれない。
  • 家族信託:身上監護は含まれない。

財産管理者の選択:

  • 法定後見:裁判所が後見人を選任する。
  • 任意後見:本人が契約相手を自由に選択可能。
  • 家族信託:本人が契約相手を自由に選択可能。

相続税対策や投資の可否:

  • 法定後見:財産の増加や投資が認められない。
  • 任意後見:制約がなく、相続税対策や投資が可能。
  • 家族信託:制約がなく、相続税対策や投資が可能。

訪問販売への対応:

  • 法定後見:成年後見人が不当な契約を取り消せる。
  • 任意後見・家族信託:取り消し権がない。

費用:

  • 法定後見:裁判所が報酬を決定。金額は財産に応じて異なる。
  • 任意後見:報酬は契約で自由に決定可能。
  • 家族信託:報酬は契約で自由に決定可能。

裁判所の監督:

  • 法定後見:定期的な報告と裁判所の監督がある。
  • 任意後見:任意後見監督人が裁判所に報告。
  • 家族信託:裁判所の監督はなく、信託契約で信託監督人の選任が自由。

信頼性と安全性:

  • 法定後見:裁判所の監督があるため安全性が高い。
  • 任意後見:任意後見監督人があるが、裁判所の監督は緩やか。
  • 家族信託:裁判所の監督がないため、信頼性には注意が必要。信託監督人を設定することがおすすめ。

これらの違いを考慮して、個々の状況やニーズに合った制度を選択することが重要です。