事案の概要:
- 不動産賃貸業者Yが所有していた土地1に、平成8年4月に女性の刺殺体が発見される殺人事件が発生。
- A(当時の所有者)は平成16年5月に建物を取り壊し、Yと土地1の賃貸借契約を合意解約。
- Xは、Yから土地1と土地2を1,503万円で購入し、建売住宅を建築して販売する予定。
- 購入希望者が殺人事件の事実を知り、購入を見合わせたことから、XはYに対し、751万円余の損害賠償を求める。
判決の要旨:
- 売買の目的物である土地上には、「隠れた瑕疵」があると判断された。
- 民法570条の瑕疵は物理的欠陥だけでなく、心理的欠陥も含まれる。不動産の場合、住み心地が悪く、居住の用に適さないと感じる嫌悪感がある場合にも瑕疵があると認められる。
- 殺人事件の残虐性が大きく、新聞報道もあったことから、通常一般人の嫌悪の度合いが相当に大きいと判断された。
- 殺人事件が約8年以上前に発生し、建物が取り壊されていたが、風化していないと認定。購入を見合わせた者の事情も考慮し、心理的な欠陥が存在すると判断。
- 損害賠償額は売買代金の5%に相当する75万円余。
まとめ:
- 裁判所は、殺人事件が風化していないと判断し、心理的欠陥が存在すると認定。
- 損害賠償は売買代金の5%に相当する75万円余とされた。
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