この事例では、「賃貸住宅の2階窓からの転落死と貸主の責任」についてです:
事案の概要:
- 賃貸人Yの父が建てた木造2階建ての建物の1戸を賃借人Xに貸し出していた。
- 賃貸住宅の2階にある窓から賃借人の妻が転落し死亡。窓に手すりや柵はなく、竿受けも錆びて伸縮できない状態だった。
主張と訴訟:
- 賃借人Xは、窓の安全性に欠陥があり、手すりがないことが原因で事故が発生したとして、損害賠償を求めた。
- 賃貸人Yは、窓の腰高は適切であり、30年間事故がなかったことから欠陥はないと主張。
判決の要旨:
- 窓の構造や妻の身長を考慮すると、窓から身を乗り出すと転落の危険性があった。
- 竿受けが伸縮できない状態だったことから、特にバランスを失った場合に転落する危険性があった。
- 窓に手すりや柵がなかったことは転落防止から見ても十分な安全性を備えていなかった。
- 賃貸人は窓の設置・保存に瑕疵があり、一部の責任を認める判決となった。
- 賃借人の妻にも極めて大きな過失があり、損害については90%の過失が相当とされた。
まとめ:
- 裁判所は、窓の安全性においては窓自体の安全性だけでなく、使用されていた状況も考慮すべきと判断した。
- 賃貸人にも一部の責任があるとされたが、賃借人側も不具合箇所を修理せず、また、貸主に危険を訴えなかったことから過失があると認定された。
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