民事信託の仕組みの設計

　民事信託の仕組みの設計と遺留分権利者への配慮

 

1. 委託者の信託設定の行為能力：

　問題点：

　委託者が法的行為の行為能力を有しているかが重要。

　対処法：

　専門家のアドバイスを仰ぎ、制限行為能力者に関しては法的な制約を確認し、信託の設定が有効であるか確認する。

 

2. 信託証書の矛盾や不明瞭な内容：

　問題点：

　矛盾や不明瞭な内容があると、関係者間での紛争の原因となりうる。

　対処法：

　専門家による信託証書のチェックを通じて、明確かつ一貫性のある内容に設計する。

 

3. 遺留分権利者への配慮：

　遺留分の概要：

　遺留分は法定相続人に留保された相続財産の一定割合であり、放棄することができない。

　対処法：

　贈与によって遺留分の算定基礎に影響がある場合、配慮が必要。

　信託設定後も期間が経過すれば、信託財産や相続財産が変動するため、定期的な見直しが必要。

 

4. 遺留分減殺請求における信託財産への請求先：

　問題点：

　受益者連続信託の場合、請求先について意見の分かれる余地がある。

　対処法：

　遺留分権利者に請求する際、信託財産説か受益権説かを明確にし、信託証書にもその旨を記載。

 

5. 信託設定の強要防止：

　問題点：

　委託者が意思能力に欠けている場合、信託設定が強要される危険がある。

　対処法：

　相続人が事業承継や相続対策に急いでいる際にも、委託者の意思能力を尊重し、専門家のコンサルティングを通じて無理なく信託を検討する。

 

　これらの対処法を踏まえ、信託の設計段階から専門家の協力を得ることが、紛争の未然防止や有効な信託の構築に繋がります。

　特に、家族の事情や法的要件を踏まえつつ、柔軟で明確な信託証書を作成することが重要です。