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基本的な安全性を損なう瑕疵

事案の概要:

  • Aが建築業者Y1と建築請負契約を締結し、設計・工事監理を設計監理業者Y2に委託。
  • Y1が建物を引き渡し、Xが購入。しかし、ひび割れ、床スラブのたわみ、鉄筋露出などの瑕疵が発生。
  • XがY1に瑕疵担保責任と不法行為に基づく補修費用と損害賠償を請求。
  • 一審はYらに損害賠償責任を認定し、7,393万円余の支払いを命じる。
  • Yらが控訴し、高等裁判所は不法行為責任の成立を認めず、Xの請求を棄却。Xが上告。

判決の要旨:

  • 設計者、施工者、工事監理者は、契約関係にない居住者にも基本的な安全性が欠けないよう注意義務を負う。
  • 基本的な安全性を損なう瑕疵があり、これにより居住者の生命、身体、財産が侵害された場合、不法行為による損害賠償責任が成立。
  • 不法行為責任が成立するためには、違法性が強度である場合や社会公共的に許容しがたい危険な建物などに限られるとする原審の見解は誤り。
  • Yらの不法行為責任について、建物の基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には成立するとして、更なる審理が必要として本件を差し戻す。

まとめ:

  • 建物の基本的な安全性を損なう瑕疵があった場合に、契約関係にない設計者、施工者、工事監理者にも不法行為責任が発生することが確認された。
  • 不法行為責任の成立には、基本的な安全性を損なう瑕疵があるかどうかが重要であり、特定の違法性の強度に限られない。

事件は更なる審理が必要として原審に差し戻された。