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賃貸借契約における保証人と連帯保証人

 賃貸借契約における保証人と連帯保証人には重要な違いがあり、それを理解することは非常に大切です。これらの違いについて説明します。

 

保証人と連帯保証人の違い

 *保証人

  • 催告の抗弁権:

 保証人は、債権者から請求を受けた際に、まず主たる債務者(借主)に請求するよう要求する権利があります。

 これを催告の抗弁権といいます(民法第452条)。

  • 検索の抗弁権:

 保証人は、主たる債務者が支払能力を有する場合、債権者に対して主たる債務者の財産を先に調査して請求するよう求めることができます(民法第453条)。

  • 分別の利益:

 複数の保証人がいる場合、それぞれの保証人は債務を分割して負担する権利があります(民法第456条)。

 

*連帯保証人

  • 催告の抗弁権がない:

 連帯保証人は、債権者から直接請求を受けた場合、主たる債務者への請求を先に行うよう要求することはできません。

  • 検索の抗弁権がない:

 連帯保証人は、主たる債務者が支払能力を有していても、そのことを理由に支払いを拒否することはできません。

  • 分別の利益がない:

 複数の連帯保証人がいる場合、それぞれが全額の債務を負担する義務があります。

 

*連帯保証人の責任の重さ

 連帯保証人は、主たる債務者が支払いを怠った場合、全額の支払い義務を負うため、その責任は非常に重いです。

 そのため、連帯保証人になる際には慎重に判断する必要があります。

改正民法(2020年4月1日施行)

 

改正民法では、個人保証人に対する保護が強化されました。

  • 極度額の設定:

 個人保証契約には、保証する範囲の上限である極度額を設定する必要があります(民法第465条の2)。

 極度額が設定されていない場合、その保証契約は無効となります。

  • 情報提供義務:

 貸主は、保証人から請求があった場合、主たる債務者の支払い状況などの情報を提供する義務があります(民法第458条の2)。

  • 事業用賃貸借契約:

 事業用賃貸借契約における個人保証には、借主が自己の財産や収支、債務状況を正確に保証人に説明する義務があります(民法第465条の10)。

 

賃貸保証会社の利用

 賃貸保証会社は、借主が家賃を滞納した際に一時的に立て替えて支払うサービスを提供しています。

 しかし、これもあくまで立て替えであり、後で借主が返済する必要があります。

 また、連帯保証人が不要になるわけではなく、緊急連絡先や補助的な保証人が求められる場合もあります。

 保証契約や賃貸借契約に関する情報をしっかりと理解し、適切な対策を講じることが重要です。