2025年の建築基準法改正では、階高の高い木造建築物の構造安全性の検証方法の合理化が重要なテーマとなっています。
これは、近年の木造建築の増加とその特性に対応し、木材利用を促進しつつ、安全性を確保するための措置です。
背景
近年、木材を使用した建築物が注目されており、特に階高の高い大空間を持つ木造建築が増加しています。
しかし、従来の構造計算方法では、これらの建築物に対応するための制約が大きく、木造建築の普及を妨げる可能性がありました。
木材の利用を促進し、脱炭素社会の実現を目指す中で、これらの制約を緩和し、合理的な構造安全性の検証方法が求められていました。
改正の内容
今回の改正では、階高の高い3階建て木造建築物等における構造計算が合理化されます。
具体的には、以下の変更が行われます。
- 構造計算の簡易化:
現状では、高さ13mを超える、または軒高9mを超える木造建築物には高度な構造計算が必要で、一級建築士による設計と工事監理が義務付けられています。
改正後は、階数3以下かつ高さ16m以下の木造建築物については、簡易な構造計算(許容応力度計算)での建築が可能になります。
また、これらの建物に対しては二級建築士による設計も認められるようになります。
- 構造計算が必要な木造建築物の規模の引き下げ:
大空間を持つ建築物に対応するため、構造計算が必要となる木造建築物の規模が引き下げられました。
改正後は、階数に関わらず、延べ面積300m²超の木造建築物では構造計算が必要とされます。
- 影響と意義
この改正により、階高の高い木造建築物の設計が容易になり、木造建築の多様なデザインや大空間のニーズに対応しやすくなります。
同時に、構造安全性を確保するための合理的な検証が行えるようになるため、安全性を損なうことなく、木造建築の普及を促進することが期待されます。
さらに、建築士の資格要件が緩和されることで、設計の自由度が広がり、木材利用の促進に貢献するとともに、カーボンニュートラルの達成に向けた取り組みが加速されることが予想されます。
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