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既存建築物の長寿命化に向けた建築基準法の改正

既存建築物の長寿命化に向けた建築基準法の改正について

 

 建築基準法の改正に伴い、既存建築物の長寿命化を目的とした規定の合理化が行われています。

 具体的な改正内容についてです。

 

1. 住宅の採光規定の見直し:

 現行の規定では、住宅の居室において、採光に有効な部分の面積は居室の床面積の1/7以上であることが求められています。

 しかし、事務所やホテルなどの建物を住宅に用途変更する際、この採光規定が適用されないことがあります。

 その結果、必要な採光面積を確保する工事が過度な負担となる場合があります。

 今回の改正では、住宅の居室に必要な採光有効面積を合理化し、原則として1/7以上としながらも、一定の条件下では1/10以上に緩和することが可能となります。

 

2. 一団地の総合的設計制度等の対象行為の拡充:

 一団地の総合的設計制度および連担建築物設計制度は、一団の土地の区域を一つの敷地とみなし、集団規定を適用する制度です。

 現行制度では、大規模修繕などは対象外とされており、無接道の敷地を含む一団の土地において、省エネ性能を向上させることが難しい状況でした。

 しかし、今回の改正により、大規模修繕や模様替えも制度の対象となり、省エネ改修がより一層促進されることになります。

 

3. 既存不適格建築物における増築時等における現行基準の遡及適用の合理化:

 既存不適格建築物に対して、増改築や大規模修繕・模様替え、用途変更を行う際には、現行の基準に適合させる必要があります(遡及適用)。

 しかし、今回の改正では、安全性の確保を前提としたうえで、一定の改修工事については遡及適用の対象外とすることで、建築物所有者の負担を軽減します。

 

4. 一定範囲内の増築等において遡及適用しない規定・範囲の追加:

 現行では、省エネ改修を行う場合、形態規制については大規模修繕等が伴う場合にのみ遡及適用が免除されます。

 今回の改正では、接道義務や道路内建築制限に違反する既存不適格建築物についても、省エネ改修を行う際には現行規定の適用が免除されるようになります。

 

 これらの改正は、既存建築物の長寿命化と省エネ化を促進するために行われています。