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連帯保証人の保護に関する民法改正について

 連帯保証人の保護に関する民法改正について、説明します。

 

1. 個人根保証契約とは?

 個人根保証契約は、特定の借金(例えば住宅ローンや賃貸契約の家賃など)だけでなく、将来発生するかもしれない他の債務(例えば賃貸物件の修理費用や損害賠償など)も含めて保証する契約のことを指します。

 この契約では、保証人がどのような場合にどれだけの金額を支払わなければならないかが、明確でないことがありました。

 

2. 極度額の設定の必要性

 改正された民法第465条の2に基づき、個人根保証契約では、保証人が保証する限度額である「極度額」を定めることが義務付けられました。

 極度額とは、保証人が負担する責任の上限を示す金額です。

 この額は、借金の元本だけでなく、利息、違約金、損害賠償金なども含めた全額に適用されます。

 極度額が設定されていない場合、その保証契約は無効となります。

 つまり、保証人は一切の責任を負わないことになります。

 

3. 保証範囲の明確化

 改正によって、保証人が負う責任範囲が明確にされました。

 以前は、保証人が支払うべき金額が無制限になるリスクがありました。

 例えば、賃貸物件の家賃を保証する契約をしていた場合、賃借人が支払いを怠ったり、物件を損傷した場合に、修理費用や家賃の未払い分を含め、予想外の多額の金額を保証人が支払わなければならないケースがありました。

 この改正により、保証人が負担する金額はあらかじめ定められた極度額を超えることはありません。

 これにより、保証人が予想外の負担を強いられるリスクが軽減されます。

 

4. 書面による保証契約の明文化

 保証契約は、必ず書面または電磁的記録(電子メールやデータファイルなど)で行われる必要があります。

 この書面には、以下の事項が明記されていなければなりません。

  • 極度額(保証人が負担する最大限の金額)
  • 保証する債務の内容(どのような債務に対して保証するのか)

 これにより、保証人が後から「そんな契約を知らなかった」と言って不利な立場に置かれることを防ぎます。

 

5. 保証人保護の背景

 この民法改正の背景には、保証人が無制限に責任を負うことへの懸念がありました。

 特に、家賃の保証人などが長期間にわたって大きな負担を負うケースや、予期せぬ損害賠償を請求されるケースが多く見られたため、保証人の保護を強化する必要があったのです。

 

まとめ

 この改正により、個人が保証人となる際に、負担する責任の範囲をあらかじめ把握できるようになり、不測のリスクから保証人を保護する仕組みが整えられました。

 保証契約を結ぶ際には、必ず極度額を設定し、その内容を確認することが重要です。