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土地信託の概要と、注意点について

 土地信託の概要と、注意点についてです。

 

土地信託の概要

1. 土地信託の増加傾向

 土地信託の登記件数は年々増加しており、2018年から2022年にかけて約2.14倍に増加。個数も約2.69倍になっています。

 増加の背景には、相続税の支払い、固定資産税の管理、土地の有効活用などの理由があります。

 

2. 土地信託の2つの方法

  • 賃貸方式: 土地を信託会社に貸し、収益を上げた後に地主に土地を返還する。
  • 処分方式: 土地を信託会社に預け、契約終了後に土地を売却する。

 

土地信託に向いている人

1. 将来、売却を考えている人

 信託受益権を売却可能なので、土地の所有権を維持しつつ、資産運用が可能です。

 

2. 相続財産を簡単に運用したい人

 土地を信託することで、プロに運用を任せ、土地活用の知識がなくても収益を得ることができます。

 

3. 子どもや孫に財産を残したい人

 信託受益権は相続や贈与が可能で、相続税の算出が有利になる場合があります。

 

4. 万一の場合に備えたい人

 信託を通じて資産承継の意思を表明することで、高齢者の認知症などの場合でも資産が保護されます。

 

5. 心配性な人

 受託者や委託者が破産しても、信託財産は保護されるため、安心です。

 

土地信託に向いていない人

1. 信託に向かない土地を持っている人

 土地の条件や規制によっては信託できない場合があります。

 信託会社によっては収益性の低い土地を受け入れないこともあります。

 

2. リスクをおそれる人

 土地信託には赤字の可能性もあります。

 運用によっては収益が予想よりも少なくなることがあります。

 

3. 信託報酬が無駄だと思う人

 自力で物件を運営すれば信託報酬はかかりませんが、その分管理や運営の負担があります。

 

土地信託に失敗しないための注意点

1. 信託銀行か、信託会社か

 信託会社と信託銀行の違いを理解し、信託業務を専門に行っている信託会社を選ぶか、銀行の信託業務も利用するか検討します。

 

2. どの会社に頼むか

 信託会社の選定は重要です。

 信頼性や実績を確認し、最適なパートナーを選びましょう。

 

3. 契約期間終了後のことを考えているか

 土地の返還や売却後の取り決めについても確認し、契約終了後の計画を立てておくことが大切です。

 

4. 土地活用会社に相談し、土地信託以外の活用法も再検討したか

 土地信託以外の活用方法も検討し、最適な方法を選ぶことが重要です。

 

 土地信託は資産の有効活用の一つの方法ですが、メリットだけでなくデメリットやリスクも十分に理解した上で検討することが大切です。