財産分与の相場
「婚姻期間別の財産分与金額」
裁判所が公表している令和2年度の司法統計によると、婚姻期間と財産分与の金額には以下のような傾向があります。
- 100万円以下の割合が最も多い:
財産分与の取り決めがあった件数のうち、最も多いのが100万円以下の金額帯です。
特に婚姻期間が短い場合、共有財産が少ないため、この傾向が強いです。
- 婚姻期間が長いほど財産分与の相場が高くなる:
婚姻期間が長い夫婦では、共有財産の形成・増加期間が長いため、財産分与の金額も高くなります。
例えば、婚姻期間が20年以上、または25年以上の場合、400万円以上の件数が増加しています。
「財産分与の種類」
財産分与は以下の3種類に分類されます:
- 清算的財産分与:
標準的な財産分与の方法で、婚姻期間中に形成した財産を夫婦それぞれが2分の1ずつ分割します。
- 扶養的財産分与:
離婚後の生活が経済的に苦しくなる場合に、扶養的な意味合いで多めに財産を受け取る分与方法です。
- 慰謝料財産分与:
不倫やDVなど、離婚の原因を作った方が慰謝料の代わりに財産を分与する方法です。
財産分与の対象となる財産
- 共有財産:
婚姻期間中に夫婦の協力で築いた財産(現金、不動産、金融商品、家具家電、保険、負債、退職金など)。
- 特有財産:
結婚前からの財産や結婚後に相続・贈与で得た財産は原則として分与の対象外ですが、婚姻期間中に夫婦の協力で増加したり、共有財産と混同された場合には対象となることがあります。
「財産分与の手順」
- 共有財産を洗い出す:
婚姻期間中に築かれたすべての共有財産を明確にします。
- 条件を話し合う:
原則として2分の1ずつ分けますが、夫婦間の話し合いで自由に決定可能です。
- 取り決めに基づき分与を実施:
取り決めた通りに財産を分けます。
合意が難しい場合は、調停や裁判で第三者の仲裁を受けることも可能です。
「財産分与の注意点」
- 財産隠しの防止:
離婚を意識し始めた段階で財産の現状を調査し、証拠を保全しておくことが重要です。
- 弁護士への依頼:
財産が不明な場合や隠される可能性がある場合、弁護士に依頼して「弁護士会照会制度」を利用することも可能です。
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