不動産の売却において取得費は重要な要素です。
取得費を正しく計算することで、譲渡所得にかかる税金を軽減できます。
ここで、相続不動産を売却する際の取得費の概要と特例について整理します。
「取得費とは」
取得費は、不動産を取得する際にかかった費用で、売却時に譲渡所得を計算するための重要な要素です。
具体的には以下のような費用が含まれます。
- 土地や建物の購入費
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 印紙税
- 立退料(借主を立ち退かせるために支払った場合)
- 建築代金
- 設備費
- 土地の造成費や測量費
- 訴訟費用(所有権取得のためにかかった費用)
「取得費の計算式」
譲渡所得は以下の計算式で求めます:
譲渡所得=譲渡価額−取得費−譲渡費−特別控除額
- 譲渡価額: 不動産を売却した際に得た代金
- 取得費: 不動産を取得する際にかかった費用
- 譲渡費: 売却にかかった費用(仲介手数料など)
- 特別控除額: 適用される控除(後述の特例)
「取得費に含まれない費用」
以下のような費用は取得費には含まれません:
- 火災保険料
- インターネット契約料
- 引越し費用
- 家電製品購入費用
- 住宅ローン保証料
「取得費がわからない場合」
取得費が不明な場合、売却した金額の5%相当額を取得費として計上できます。
たとえば、土地を2,000万円で売却した場合、5%の100万円を取得費として計上可能です。
「取得費の特例」
相続した不動産の売却時には、以下の特例を利用することで税金負担を軽減できます。
- 取得費加算の特例:
相続税が課税された不動産について、相続税の一部を取得費に加算することができます。
条件: 相続税の申告期限から3年以内に売却すること。
- 空き家の3,000万円特別控除:
昭和56年5月31日以前に建築された住宅またはその土地を売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
条件: 相続開始から3年以内に売却、売却代金が1億円以下など。
- マイホームを売ったときの軽減税率の特例:
所有期間が10年以上のマイホームを売却した場合、譲渡所得税の税率が軽減される特例です。
条件:居住していた不動産であること、以前住んでいた不動産に住まなくなってから3年以内に売却することなど。
「取得費の計算に必要な書類」
- 不動産購入時の売買契約書
- 取得費用の領収書
- 譲渡所得の確定申告書
これらの書類を整理し、確定申告時に提出することで、正確な取得費を計算し、税金負担を軽減できます。
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