公示価格と実勢価格は、土地や不動産の取引における価格指標として重要な役割を果たしています。
それぞれの意味と役割について解説します。
「公示価格とは」
公示価格は、国土交通省が毎年1月1日時点の土地価格を全国の標準地(約26,000地点)ごとに発表する価格です。
この価格は、次のような目的で使用されます:
- 公共事業用地の取得:
公共事業で用地を取得する際の基準価格となります。
- 一般不動産取引の指標:
一般の不動産取引で価格を決める際の参考とされます。
- 税金評価の基準:
相続税の財産評価や固定資産税の評価基準ともなります。
「実勢価格とは」
実勢価格は、実際の不動産取引で売主と買主が合意した価格のことを指します。
売買契約書に記載される価格であり、実際の市場取引を反映しています。
公示価格とは異なり、毎日のように変動し、土地の立地条件や需給バランス、周辺環境の影響を受けます。
「公示価格と実勢価格の違い」
- 基準と実際の価格:
公示価格は政府が算出した「基準的な価格」であり、実勢価格は「実際に取引された価格」です。
- 変動の頻度:
公示価格は年1回の更新に限られる一方、実勢価格は取引ごとに変動します。
- 使われる用途:
公示価格は税金や公共事業の基準となりますが、実勢価格は実際の取引に基づいて価格が決まるため、商談の材料として用いられます。
「公示価格と実勢価格の乖離」
- 実勢価格は公示価格を上回ることが多く、両者の間には乖離が生じます。
例えば、首都圏の主要エリア(東京都世田谷区、神奈川県藤沢市、千葉県船橋市、埼玉県川越市)では、実勢価格が公示価格を上回り、乖離率はおおよそ1.058から1.320の範囲で変動しています。
「どちらが重要か」
- 公示価格は標準的な価格の目安として重要ですが、実際の取引を行う際には、実勢価格が重視されます。
- 実勢価格は売主と買主の合意によって決まるため、取引における最終的な価格決定に直接関わります。
公示価格と実勢価格の両方を理解することが、不動産取引の価格判断に役立ちます。
価格設定の基準として、公示価格を参考にしつつ、現実の市場動向を反映した実勢価格も考慮することが重要です。
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