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民法の全体像

 民法は、私人間の権利と義務を規律するための法律で、全体で5編、1,050条の条文から成り立っています。

 その全体像は以下のように構成されています。

 

民法の全体像

第1編 総則

  • 民法全体や他の私法に共通して適用される基本的なルールを規定しています。
  • 例として、権利の行使の基本原則(信義誠実の原則、権利濫用の禁止)や、権利能力、意思能力、行為能力についての規定があります。

第2編 物権法

  • 物(財産)に対する権利、特に所有権や担保権について規定しています。
  • 物権の設定や移転、消滅に関するルールを詳細に規定し、例えば、不動産の所有権、抵当権、賃貸借に関する権利などが含まれます。

第3編 債権法

  • 債権、つまりある人が他の人に対して一定の行為を請求する権利に関する規定です。
  • 売買契約、賃貸借契約、雇用契約などの契約の一般的なルールや特定の契約類型ごとの詳細な規定を含みます。

第4編 親族法

  • 家族関係、特に夫婦や親子、親族に関する権利と義務を規定しています。
  • 結婚や離婚の手続き、親権、扶養義務などについてのルールを含みます。

第5編 相続法

  • 死亡した人の財産を相続する際の手続きやルールを規定しています。
  • 遺言の効力、相続人の権利、遺産分割の方法などについて詳細に規定しています。

財産法と家族法

  • 財産法:

 財産関係(物権と債権)を規律するもので、民法の第2編および第3編が含まれます。

  • 家族法:

 夫婦・親子・親族の身分関係や相続に関することを規律するもので、民法の第4編(親族)と第5編(相続)が含まれます。

 

民法の基本原則

  • 私権の適合性(第1条第1項)

 財産権や相続権などの私法上の権利は、公共の福祉(社会全体の利益)に適合しなければなりません。

  • 信義誠実の原則(第1条第2項)

 権利の行使及び義務の履行は、誠実に行うことが求められます。

  • 権利濫用の禁止(第1条第3項)

 権利の行使が社会的に認められる限度を超えた場合、その行使を制限します。