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民法第1条での3つの基本原則

 民法第1条で定められている3つの基本原則(公共の福祉の原則、信義誠実の原則、権利濫用の禁止)についての説明です。

 

 これらの原則は、民法全体の基本的な価値観を示しており、個々の法律問題や権利行使の際に判断基準として用いられます。

 

1. 公共の福祉の原則

 この原則は、個々の私的権利も公共の福祉、つまり社会全体の利益に適合する必要があるというものです。

 財産権や相続権などの私権であっても、社会全体の利益を害するような行使は許されないという趣旨です。

 

2. 信義誠実の原則

 信義誠実の原則は、権利の行使や義務の履行において、誠実に行動しなければならないというものです。

 相手から期待される信頼や誠意を裏切るような行為は、許されないとされています。

 例えば、契約終了時の転借人の立ち退き請求において、この原則に反するかどうかが判断されました。

 

3. 権利濫用の禁止

 この原則は、正当な権利の行使であっても、その行使が他者に対して過度に不利益をもたらす場合には、権利の行使が認められないとするものです。

 代表的な判例として「宇奈月温泉事件」では、権利行使が著しく不合理であると判断され、権利濫用として認められませんでした。

 

解釈の基準

 民法第2条は、法律の解釈が個人の尊厳と両性の本質的平等を基準にするべきであると定めており、個人の意思や性別による不当な差別に基づく解釈は許されません。

 これらの原則は、民法全体に共通するルールであり、私法全般の基本的な考え方を形成しています。

 これを踏まえて、法的問題や契約等の判断を行う際に、これらの原則がどのように適用されるかを理解することが重要です。