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権利能力・意思能力・行為能力

 「権利能力」「意思能力」「行為能力」という3つの能力についてです。

 これらは、法律上の行為や契約の有効性に関わる重要な概念です。

 それぞれの意味や制限に関するルールを理解することは、法的なトラブルを避けるためにも役立ちます。

 

*権利能力

  • 定義:

 「権利を得たり、義務を負ったりすることができる能力」。

  • 誰が有するか:

 人(自然人)と法人。胎児も特定の条件(相続、遺贈、不法行為による損害賠償)では、出生後に遡及して権利能力を認められる。

  • 取得と消滅:

 権利能力は生まれた時に取得し、死亡時に消滅する。

 

*意思能力

  • 定義:

 「取引などの際に、自身の行為の結果を認識できる能力」。

  • 判断基準:

 行為の内容によって個別に判断される(例: 子供が簡単な買い物はできるが、不動産取引はできない)。

  • 意思能力がない場合:

 行為は無効とされる(例: 幼児や泥酔者など)。

 

*行為能力

  • 定義:

 「単独で法律行為を行うことができる能力」。

  • 制限行為能力者:

 以下の4種類があり、それぞれに法律行為の取り消しが認められる場合がある。

  • 未成年者:    原則、法定代理人の同意なしでの行為は取り消し可能(例外あり)。
  • 成年被後見人:  原則、すべての行為が取り消し可能(例外あり)。
  • 被保佐人:    特定の法律行為については同意が必要。
  • 被補助人:    特定の法律行為について補助人の同意や代理が必要。
  • 制限行為能力者の相手方の保護

 制限行為能力者と取引をした相手方には、「催告権」という保護があり、一定の期間内に行為の追認を求めることができる。

  • 詐術

 制限行為能力者が詐術を用いて行為能力者であると偽った場合、その行為の取り消しは認められない。

 これらの概念を理解することで、法律上の行為の有効性や無効性に関する判断がしやすくなります。

 特に、日常生活やビジネスの中での契約や取引を行う際には重要です。