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貸金の支払督促が消滅時効の中断

消滅時効の中断の効力

 (平成29年3月13日最高裁)

 事件番号  平成28(受)944

 この裁判では、貸金の支払督促が保証債務履行請求権について消滅時効の中断の効力を生じるかどうかが争点となっています。

 最高裁判所の判断は、支払督促が保証契約に基づく保証債務履行請求権について消滅時効の中断の効力を生じないとされた事例です。

 

主なポイント

  • 事案の背景:

 貸金の支払いを求める支払督促がありました。

 この支払督促は、貸金の返済義務を負う主債務者に対するものでした。

 保証人との間で保証契約が締結されており、保証人には保証債務履行請求権がありました。

  • 争点:

 支払督促が、主債務者に対するものとして行われた場合、保証債務履行請求権についても消滅時効の中断の効力を生じるかどうかが争点となりました。

  • 最高裁の判断:

 最高裁判所は、支払督促が保証債務の履行を求めるものではなく、主債務者に対するものとして行われた場合には、その支払督促は保証契約に基づく保証債務履行請求権について消滅時効の中断の効力を生じないと判断しました。

 理由として、支払督促はその手続の対象となる債権に対してのみ効力を有し、他の債権には影響を与えないという原則が確認されました。

  • 消滅時効の中断に関する法的解釈:

 消滅時効の中断には、債権者が債務者に対して請求、承認、訴訟提起などの一定の行為を行う必要があります。

 

 本件では、保証債務履行請求権に対する消滅時効の中断のためには、保証人に対して明確な請求が行われる必要があり、主債務者に対する支払督促のみではその効力が及ばないとされたのです。

  • 結論

 この裁判では、貸金の支払督促が主債務者に対するものであっても、保証人に対する保証債務履行請求権について消滅時効の中断の効力を生じないとされています。

 

 したがって、保証債務の消滅時効を中断させるためには、保証人に対して明確な請求や訴訟提起などの行為が必要であるとされています。