この裁判(昭和41年12月20日最高裁、昭和39(オ)1237)では、重畳的債務引受によって連帯債務関係が生じるかについて、最高裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
- 重畳的債務引受と連帯債務関係:
重畳的債務引受がなされた場合、反対に解すべき特段の事情がない限り、原債務者と引受人の間に連帯債務関係が生じるものと解するのが相当であるとしています。
この見解に基づき、重畳的債務引受が行われた場合、原則として引受人と原債務者の双方が連帯して債務を負うことになります。
- 本件の経緯と判断:
本件において、上告人らの先代Eは、原債務者であるD物産株式会社の解散後、その会社の清算人から清算事務の一環として不動産の売却処分権限を付与されていました。
その間、被上告人の代理人がD物産株式会社の清算人に対し、貸金の履行を求めたものの、債務の存在の承認を得ることができませんでした。
そこで、会社の前社長であり、事実上清算事務を担当していたEに対し、その責任を負うことを要求した結果、Eは個人として同会社の債務について重畳的債務引受をすることになりました。
以上の経緯から、Eの行為により連帯債務関係が生じない特段の事情があるとは認められないとされています。
- 時効消滅の効果について:
この判断に基づき、原債務者の債務が時効によって消滅した場合、その効果は民法第439条の適用により、原債務者の負担部分について債務引受人にも及ぶと解されます。
したがって、原債務者と債務引受人の間に連帯債務関係が生じている限り、時効の完成など原債務者の権利状態の変動は債務引受人にも影響を与えることとなります。
- まとめ
この裁判では、重畳的債務引受が行われた場合、原債務者と引受人の間に連帯債務関係が生じるのが原則であるとされました。
そして、その連帯債務関係が生じない特段の事情がない限り、原債務者の債務に関する時効消滅の効果は、債務引受人にも及ぶという結論に達しました。
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