不動産投資において、「個人」か「法人」かの選択は重要なポイントです。
それぞれの形態にはメリットとデメリットがあり、投資の規模や目的、経営者の収入状況によって異なるため、慎重な検討が必要です。
1. 税金の違い
個人の場合、不動産所得は総合課税の対象となり、他の所得と合算されて超過累進課税が適用されます。
収入が多いほど高い税率が適用されるため、税負担が増える可能性があります。
法人の場合、所得に応じた税率が固定されており、資本金1億円以下の法人では年800万円までの所得に対して15%、800万円を超える部分には23.2%の税率が適用されます。
大規模な収益が期待できる場合は、法人化することで税金が少なくなる可能性があります。
2. 融資の違い
個人の場合、物件の収益性や担保評価、個人の信用力が重視され、ローン審査を受けやすいです。
特に、すぐに融資を受けたい場合は個人の方が有利です。
法人の場合、事業用の融資を含む複数の選択肢がありますが、法人設立直後は業績がないため、融資が難しいことがあります。
融資の選択肢は多いものの、時間がかかる可能性があります。
3. 個人で不動産投資を行う5つのメリット
- 青色申告特別控除の利用
最大65万円の控除が受けられ、節税効果が大きい。
ただし、「事業的規模」と認められる必要があります(例:5棟以上の戸建てまたは10室以上のアパート)。
- 家族への給与を経費にできる
「青色事業専従者給与」として家族に支払った給与を経費に計上できる。これも「事業的規模」が条件です。
- 関連する費用を経費にできる
書籍代、交通費、修繕費、管理費など、不動産投資に関連する費用を経費にすることが可能です。
- 不動産所得を損益通算できる
赤字が出た場合、本業の給与所得などと相殺して課税所得を減らせる。
- 長期譲渡所得が適用される
不動産の所有期間が5年を超える場合、「長期譲渡所得」が適用され、税率が約20%となり、税負担が軽減されます。
4. 個人と法人の使い分け
短期で不動産を売却する予定がある場合、法人の方が税率が低くなる可能性があります。
大規模な収益を期待できる場合は法人化が有利です。
小規模な不動産投資や早急に融資を受けたい場合は、個人の方が適している可能性があります。
これらを考慮し、目的や状況に応じて「個人」と「法人」のどちらで不動産投資を行うかを選ぶことが重要です。
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