この裁判(平成28年4月28日、最高裁、事件番号平成27(受)330)は、破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権が破産財団に帰属するかどうかについてのものです。
具体的には、破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づいて、破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権が破産財団に属するかどうかが問題となりました。
最高裁判所の見解
- 第三者のためにする生命保険契約における死亡保険金請求権:
死亡保険金受取人は、第三者のためにする生命保険契約の成立により、当該契約で定める期間内に被保険者が死亡することを停止条件として、死亡保険金請求権を取得します。
この請求権は、被保険者の死亡前であっても、受取人が処分したり、一般債権者が差し押さえたりすることが可能であり、一定の財産的価値を有するものとされています。
- 破産財団への帰属:
破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき、破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権は、破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するとされます。
そのため、この死亡保険金請求権は、受取人の破産財団に属するというのが最高裁の判断です。
- 裁判の意義
この判決は、生命保険契約における死亡保険金請求権が、破産者の財産としてどのように取り扱われるかを明確にした重要なものです。
具体的には、破産者が破産手続開始前に取得した保険金請求権が、破産財団に帰属することが確認され、破産財団の管理人がこの権利を行使できるということになります。
これは、破産手続において債権者の利益を保護するために重要な意義を持っています。
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