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過去の婚姻費用分担の態様の考慮

 この裁判(昭和53年11月14日最高裁、事件番号:昭和53(オ)706)では、離婚訴訟において裁判所が財産分与を命じる際に、婚姻期間中に一方の当事者が過大に負担した婚姻費用の清算を財産分与の額および方法に含めることができるかどうかが争点となりました。

 

最高裁判所の見解

  • 財産分与の額および方法の決定:

 離婚訴訟において、裁判所が財産分与の額および方法を定めるにあたっては、民法771条および768条3項の規定により、当事者双方の一切の事情を考慮すべきであるとされています。

  • 過去の婚姻費用分担の態様の考慮:

 婚姻期間中における婚姻費用の分担の態様は、財産分与を決定する際に考慮すべき「事情」の一つです。

 

 そのため、裁判所は、当事者の一方が婚姻期間中に過剰に負担した婚姻費用を清算するための給付を財産分与に含めることができると解するのが相当であると判断されました。

  • 結論

 この判決により、離婚訴訟において財産分与を決定する際、婚姻中に一方の当事者が過大に負担した婚姻費用の清算も財産分与の考慮に含めることができるとされました。

 

 これにより、過去の婚姻費用分担の不均衡が是正される可能性があることが示されています。