この判例(平成元年4月6日最高裁判決)では、認知者の死亡後における認知無効の訴えが許されるかどうかについて、以下のような最高裁判所の見解が示されています。
1. 親子関係の重要性
親子関係は身分関係の基本となる法律関係であり、その認知に基づく親子関係が真実に反する場合、認知によって生じた法律効果に関する現在の法律上の紛争を解決するために、被認知者には当該親子関係が存在しないことを確定することについての法律上の利益が存在します。
2. 認知者の死亡後の認知無効の訴えの許可
認知者が死亡した後であっても、認知無効の訴えの提起を許容することが適当とされています。
この場合、認知無効の訴えの相手方としての地位は、婚姻の無効や取消しの場合の相手方の地位と同様に一身専属的なものであり、承継の対象にはなりません。
3. 人事訴訟手続法の適用
人事訴訟手続法第2条第3項の規定を類推適用し、認知者が死亡した後は検察官を相手方とすべきと解されます。
これは、婚姻無効や取消しの訴えにおける相手方の地位が承継されないことと同様の扱いです。
4. 具体的な結論
したがって、認知者が死亡した後でも、被認知者は検察官を相手方として認知無効の訴えを提起することができると解されています。
- まとめ
この判例からは、認知者の死亡後であっても、被認知者には親子関係の真実を確定するための法律上の利益が認められるため、認知無効の訴えの提起が許されることが示されています。
特に、相手方の地位が承継されないため、検察官を相手方とすることが適切とされています。
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