この裁判(昭和46年1月26日最高裁、事件番号:昭和45(オ)398)では、遺産分割と第三者に対する対抗関係について最高裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
- 遺産分割の効果の発生時期
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼって効力を生じます。
しかし、第三者に対する関係においては、その効果が遡及することはないとされます。
これは、遺産分割によって相続人が一度取得した権利に対して新たな変更が生じることになり、実質的には相続開始時の権利関係とは異なるものとなるからです。
- 不動産の共有持分の得喪変更と民法177条の適用
不動産に関しては、遺産分割によって相続人の共有持分の得喪変更が生じた場合、民法177条の規定が適用されます。
つまり、遺産分割により相続分とは異なる権利を取得した相続人は、その変更を登記しなければ、分割後に当該不動産について権利を取得した第三者に対して、自己の権利の取得を対抗することができません。
- 判決の要点
最高裁は、遺産分割と第三者との関係において次の点を明確にしました:
- 遺産分割の効力は相続開始時に遡及するが、第三者に対しては遡及しない。
- 不動産の相続に関する権利変更については、民法177条が適用され、登記を行わない限り第三者に対抗できない。
この判決により、遺産分割に伴う権利変動が第三者に影響を及ぼすためには、適切な登記手続が必要であることが明確にされました。
したがって、相続人が遺産分割によって取得した権利を第三者に対して主張するためには、登記を通じた公示手段が重要であると強調されています。
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