この裁判(昭和53年7月13日最高裁、事件番号:昭和52(オ)1171)では、共同相続人の一人が遺産の不動産に対する共有持分権を譲渡した場合の法的扱いについて、最高裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
- 共有持分権の譲渡と民法905条の適用
共同相続人の一人が、遺産の中の特定の不動産に対する自らの共有持分権を第三者に譲渡した場合、民法905条の規定を適用または類推適用することはできないと解されます。
- 判決の意義
この判決におけるポイントは以下の通りです:
民法905条は、遺産分割に関する規定であり、遺産分割によって遺産の構成財産について相続人間で所有権の分配が行われることを前提としています。
一方で、共同相続人の一人が特定の不動産について自らの共有持分権を第三者に譲渡する場合、その譲渡行為は遺産分割の一環としての性質を持たないため、民法905条の規定を適用または類推適用することは不適当と判断されました。
- 判決の影響
この見解は、相続人の一人が第三者に持分を譲渡した場合、遺産分割とは異なる法的な取扱いが必要であることを明確にし、相続法における持分譲渡に関する実務上の取扱いの指針となっています。
つまり、持分権の譲渡は、遺産分割における共有者間の調整とは別個の問題であると位置づけられます。
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