共同正犯とは、二人以上が協力して犯罪を実行した場合に、すべての実行者が等しく正犯とみなされる形態です。
刑法第60条に定められており、共同で犯罪を行った者は、全員がその犯罪の結果について責任を負います。
共同正犯の成立要件
- 主観的要件(共同実行の意思):
行為者同士が共に犯罪を実行する意思を持っていることが必要です。
この意思は必ずしも明示される必要はなく、暗黙の了解でも成立します。
- 客観的要件(共同実行の事実):
実際に複数人が共同で犯罪を実行していることが必要です。
行為の分担があっても、全員が犯罪の実行に寄与していれば、共同正犯となります。
判例からのポイント
- 意思の連絡がない場合:
行為者の一方に共同実行の意思があっても、もう一方にその意思がない場合、共同正犯は成立しません【大判大11年2月25日】。
- 共謀と共同正犯の関係:
2人以上が共謀して犯罪を計画し、一部の者が実行した場合、実行に参加していなくても共謀者は共同正犯となる可能性があります【大判昭和11年5月28日】。
- 見張り役も共同正犯:
犯行現場で見張り役をしていた者も、犯行を実行していなくても、共同実行の意思があれば共同正犯とされます【最判昭和23年3月11日】。
- 共謀が順次に行われた場合:
順次に共謀がなされ、後から参加した者もその共謀に加わっていれば、共謀関係が成立し、全員が共同正犯となります【最判昭和33年5月28日】。
- 共謀関係からの離脱:
いったん共謀に加わった者でも、実行前に他の共謀者に対して離脱する意思を示し、その了承を得た場合は、共同正犯からの離脱が認められます【昭和25年9月14日】。
ただし、離脱者がリーダー格であった場合は、他の共謀者に与えた影響を取り除かない限り、離脱が認められない場合があります【松江池判昭和51年11月2日】。
- まとめ
共同正犯は、単に複数人が犯罪を実行するだけでなく、共謀や意思の連絡が重要な要素となります。
たとえ直接的に実行に参加していない場合でも、共謀者として関与している場合には、責任を負うことになります。
また、離脱が認められるためには、明確な意思表示と状況の整合性が必要です。
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