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賄賂罪は、収賄罪と贈賄罪

 賄賂罪は、収賄罪(公務員が賄賂を受け取る側の犯罪)と贈賄罪(賄賂を渡す側の犯罪)に分かれています。

 

 これらは、公務員の職務の公正性や、職務が売買されないこと(不可買収性)を保護するために定められています。

 

収賄罪の構成要件

 収賄罪は、公務員がその「職務」に関連して賄賂を受け取ったり、要求したり、約束を交わすことで成立します。

 

1. 単純収賄罪

成立要件:

 公務員が職務に関して賄賂を受け取る(収受)、要求する、または約束する。

 

ポイント:

 賄賂の内容は金銭に限らず、何でも人の欲望を満たすものであれば成立します。

 不正行為が実際に行われなくても、賄賂を受け取るだけで成立します。

 

2. 受託収賄罪

成立要件:

 賄賂を受け取る際に、特定の職務行為を依頼される(請託がある)場合。

 

ポイント:

 請託(特定の職務をしてもらう依頼)があることで、より重い犯罪とされます。

 

3. 事前収賄罪

成立要件:

 公務員になる前に賄賂を受け取ること。ただし、将来の職務に関する請託があれば成立します。

 

ポイント:

 まだ公務員でなくても、職務に関連して賄賂を受け取る場合は罪に問われます。

 

4. 第三者供賄罪

成立要件:

 公務員が自分ではなく、他の第三者(例えば、自分が関係する会社など)に賄賂を渡させること。請託が必要です。

 

ポイント:

 公務員が直接利益を得なくても、関連する第三者に賄賂を与えさせる場合も罪に問われます。

 

5. 加重収賄罪

成立要件:

 賄賂を受け取ったうえで、実際に不正な職務行為を行った場合。

 

ポイント:

 単純な賄賂の受け取りよりも重い罰が科されます。

 

6. 事後収賄罪

成立要件:

 公務員が職務を終えた後に、過去の職務に関連して賄賂を受け取ること。

 在職中に請託があった場合のみ成立します。

 

ポイント:

 職務を終えた後でも、在職中の行為に関連する賄賂を受け取ることは違法です。

 

7. あっせん収賄罪

成立要件:

 他の公務員の不正行為を依頼された場合、あっせんの対価として賄賂を受け取ること。

 

ポイント:

 他の公務員の不正を仲介する行為が含まれます。

 

 贈賄罪の構成要件

 贈賄罪は、賄賂を渡す側の犯罪です。収賄罪が公務員限定なのに対し、贈賄罪は公務員以外の者にも成立します。

 

1. 贈賄罪の要件

  • 成立要件:

 賄賂を供与(渡す)、申込み、約束する行為。

  • ポイント:

 贈賄罪は、賄賂を渡す意図があれば、実際に賄賂が渡らなくても成立します。

 また、賄賂の内容は金銭や物品、サービスなど、人の欲望を満たすものであれば広く認められます。

 

  • まとめ

 賄賂罪では、賄賂の内容や具体的な職務に関する請託の有無によって、収賄罪の分類や贈賄罪が決まります。

 

 職務の不正行為がなくても、賄賂を受け取った時点で犯罪が成立することが多いのが特徴です。