行政罰とは、行政主体(国や地方公共団体)が、法律や規則に基づいて一般市民に対して課す制裁のことです。
行政罰は「行政刑罰」と「秩序罰」に分けられ、それぞれ目的や処理方法が異なります。
1. 行政刑罰
行政刑罰は、行政上の義務違反に対して科される刑罰です。
これには、刑法総則(刑法の基本ルール)が適用され、通常は裁判所が刑罰を科します。
例えば、違法な建築や無許可営業などの違反があった場合に、罰金や懲役が科されることがあります。
- 刑罰の種類:
懲役、禁錮、罰金、勾留、科料など
- 処理方法:
裁判所による正式な手続きで処理されますが、軽微な違反に対しては簡易な手続きが用いられることもあります。
行政刑罰の目的は、道義的な責任の追及ではなく、行政上の義務違反を取り締まることです。
また、業務に関わる違反の場合、違反行為を行った本人だけでなく、その業務主も処罰されることがあります。
2. 秩序罰
秩序罰は、比較的軽微な行政上の義務違反(例えば、届出や登録の未提出)に対して科される罰です。
これは、犯罪には至らない義務違反に対する制裁です。
- 罰の科し方:
裁判所が非訟事件手続法に基づいて処理する場合と、地方公共団体の長が行政形式で科す場合があります。
- 特徴:
刑法総則が適用されないため、行政刑罰とは処理方法が異なります。
行政罰と執行罰の違い
「執行罰」は、義務の履行を強制するために行われるもので、過去の違反に対する制裁である行政罰とは異なります。
ただし、行政罰には、義務違反に対する予告を通じて間接的に義務の履行を促す効果もあります。
このように、行政罰には義務違反に対する制裁があり、行政刑罰と秩序罰はその性質や科し方が異なるという特徴があります。
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