不合理分割についての説明

　不合理分割についての説明を以下にまとめます。

 

「不合理分割とは」

　不合理分割とは、土地の評価において、相続や贈与などの目的で意図的に土地を分割し、その分割方法が不合理と見なされる場合に、通常の評価方法を用いずに全体の評価額を基にして個々の土地を評価することを指します。

 

　具体的には、土地を分割することで評価額が著しく低くなり、相続税や贈与税の負担を回避しようとすることを防ぐための制度です。

 

不合理分割の例

• 分割前と分割後の評価額の違い

分割前の土地全体の評価額:

　1億2,000万円（例）

分割後の評価額:

　長男部分が1,000万円、二男部分が2,200万円 → 合計3,200万円

　このような分割で評価額が大幅に下がる場合が不合理分割とされる。

• 評価方法

　不合理分割に該当する場合、分割前の全体の評価額を基にして、各部分の評価額を算出します。

　具体的には、全体評価額 × 各部分の評価額比率で各部分の評価額を計算します。

　例:

　全体評価額1億2,000万円のうち、長男部分が1,000万円、二男部分が2,200万円の場合:

　長男の評価額 = 1億2,000万円 × (1,000万円 / 3,200万円) = 3,750万円

　二男の評価額 = 1億2,000万円 × (2,200万円 / 3,200万円) = 8,250万円

 

不合理分割に該当する例

• 無道路地や不整形地の分割

　無道路地や不整形地が生じる分割は不合理と見なされる可能性があります。

• 土地利用の困難

　将来的に有効な土地利用ができないような分割も不合理分割とされます。

• 贈与の場合の不合理分割

　贈与の場合も不合理分割の評価が必要で、贈与時の評価も考慮する必要があります。

 

注意点

• 面積按分 vs. 時価按分

　不合理分割の評価では、面積に基づく按分ではなく、時価に基づく按分が必要です。

• 将来の利用状況

　分割時だけでなく、将来的に有効な利用が見込まれない分割も不合理とされる可能性があります。

 

　このように、不合理分割は土地評価において意図的な分割方法による税負担回避を防ぐための制度であり、実務上の判断が難しい場合もあります。