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公の営造物(公物)とは

 国家賠償法第2条では、道路や河川などの公の営造物に瑕疵があった場合に生じる損害について、国または地方公共団体が賠償責任を負うと定められています。

 

国家賠償法 第2条の内容

第二条

「道路、河川その他の公の営造物の設置または管理に瑕疵(欠陥や不備)があったために、他人に損害を与えたときは、国または地方公共団体はその損害を賠償する責任を負う」としています。

 この規定に基づき、国や地方自治体が管理する施設や設備に問題があり、それが原因で事故や損害が発生した場合、損害賠償請求を受けることがあります。

 

公の営造物(公物)とは

 「公の営造物」とは、国または地方公共団体が公共の目的で利用している物を指し、これを行政法の観点では「公物」とも呼びます。

 これらの公物は、使用目的に応じて「公共用物」と「公用物」の2種類に分類されます。

 

1. 公共用物

 公共用物とは、一般公衆が直接利用できる物を指します。

 以下のように、自然のものや人工のものがあります。

  • 自然公物:  河川、海浜など自然のままの公共物。
  • 人工公物:  公園や道路など、人が作り出し、一般に利用される公共物。

公共用物の特徴:

 公用開始行為によって、人工公物は「使ってもよい」という行政主体の意思表示で公共用物となります。

 自然公物はこの意思表示が不要です。

 

利用の形態は3つに分かれます:

  • 自由使用(一般使用): 他の人の使用を妨げない限り、自由に使用可能。
  • 許可使用: 法律で基本的に使用が禁止されているが、許可を得れば使用可能。
  • 特許使用: 特定の個人が独占的に使用することを許可される場合。

2. 公用物

 公用物とは、国や地方自治体が利用するための物で、一般の人々が直接利用するわけではありません。

 具体的には、官舎や職員の宿舎などが公用物に該当します。

  • 公用物の特徴:

 公用物は一般人が使用するものではないため、公用開始行為のような「一般の人々に使ってもよい」という意思表示が必要ありません。

  • 公物の時効取得について

 一般的に、公物(公共用財産)は私人が時効取得することはできません。

 しかし、長年使用されずに放置された場合、例えば機能していなかった水路に関して、黙示的に公用が廃止されたとみなされ、私人が時効取得を認められた判例もあります。

 このような場合もあるため、注意が必要です。

 

 このように、公の営造物に関する法律は、公物の管理や利用に関する原則を定めており、特定の状況では例外的な扱いが認められることもあります。