· 

条例と法律の基準

 地方公共団体の重要な権能の一つとして、「条例の制定権」があります。

 「条例」とは、地方公共団体がその自治権に基づいて、地域内の一定の事務に関する規定を自主的に定める立法行為です。

 

条例と規則

  • 条例:

 地方議会によって制定される自主立法です。

  • 規則:

 地方公共団体の長や教育委員会、公安委員会などが制定する規則も含まれ、これも自主立法として扱われます。

 

憲法との関係

 条例は、憲法に定められた範囲内で制定される必要がありますが、憲法が「法律で定める」と規定する事項について、条例で規定できるかどうかは議論の対象です。

 

 たとえば、憲法29条2項における財産権の制限や、憲法31条の「法律の定める手続きによらなければ刑罰を科すことはできない」という規定に対して、条例がどこまで関与できるかが問題となります。

 

条例と法律の基準

 地方公共団体が制定する条例は、法律の範囲内でなければなりませんが、地方の実情に応じて、法律よりも厳しい基準を定めることが認められる場合があります。

 

 ただし、個別の法律で「これより厳しい基準を定めてはならない」と規定されている場合には、条例で厳しい基準を設けることはできません。

 

 憲法第94条では、地方公共団体は財産の管理や事務処理、行政執行に関する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定できることが明記されています。

 

 このため、特に法律で制限されない限り、地方の独自の事情に応じた規制を行うことが許されています。