株式会社における株主の責任と権利、そして株主平等原則についての概要を以下にまとめます。
1. 株主の責任(間接有限責任)
株主は、株式の引受価額を限度として責任を負う「間接有限責任」が原則です。
これは、株式を購入する際に支払った額を限度とし、それ以上の損害は負わないという意味です。
会社法第104条では、株主の責任はその有する株式の引受価額に限定されると明記されています。
たとえ会社の業績が悪化しても、株主は購入した株式に対する金銭的責任を超えて損害を被ることはありません。
2. 株主の権利
株主は以下の基本的な権利を有します(会社法第105条)。
- 剰余金の配当を受ける権利:
会社の利益が配当される場合、株主はその配当を受ける権利があります。
- 残余財産の分配を受ける権利:
会社が解散した場合、残余財産があればその分配を受ける権利があります。
- 株主総会における議決権:
株主は株主総会において議決権を行使する権利を持ちます。
株主の基本的な権利は、定款で一部制限することも可能ですが、剰余金の配当や残余財産の分配に関する権利を完全に剥奪することはできません(第105条第2項)。
3. 株主平等原則
株式会社は、株主を「その有する株式の内容および数に応じて」平等に扱わなければならないとする原則があります。
これは「株主平等原則」と呼ばれ、会社法第109条で規定されています。
ただし、公開会社でない株式会社(非公開会社)においては、定款で定めることにより、株主ごとに異なる扱いをすることができます。
例えば、剰余金配当請求権、残余財産分配請求権、議決権について異なる取扱いを行うことが可能です(第109条第2項)。
4. 定款による株式の種類設定
非公開会社において、定款で株主ごとの権利の異なる取り扱いが認められている場合、その株主の保有する株式は「種類株式」とみなされます。
種類株式は、株式の内容によって異なる権利を持ち、会社法の規定が適用されます(第109条第3項)。
これらの規定は、株主の保護を図りながらも、会社が柔軟な経営判断を行えるように設けられているものです。
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