海老澤佐妃子と旅館「海喜館」の歴史
生い立ちと旅館の経営
1944年: 五反田で生まれ、両親が経営する旅館「海喜館」で育つ。
旅館の繁栄:
旅館の創業者である父親は羽振りが良く、愛人問題で夫婦仲が悪化し、母親が旅館の経営を引き継ぐ。
戦後の五反田の花街に位置し、旅館は繁盛。
1975年: 母親の死去後、海老澤佐妃子が旅館を相続し、引き続き経営を続ける。
経営の苦境と廃業
バブル経済の時期、旅館は出張サラリーマン向けに営業を続けていたが、施設の老朽化と新しいビジネスホテルの競争により、次第に経営が厳しくなる。
2015年3月: 経営が成り立たなくなり、ついに旅館を廃業。
しかし、旅館の売却には消極的で、不動産業者やブローカーたちの勧誘を断り続けた。
体調の悪化と入院
海老澤佐妃子は2017年頃に体調を崩し入院。
廃業した旅館は無人となり、次第に荒廃。彼女が旅館に姿を見せなくなったのは2017年2月頃が最後。
高齢の彼女が入院している間に、地面師たちがこの状況に目を付け、詐欺計画が進行。
「地面師たちの暗躍」
- 詐欺の計画
海喜館の詐欺は、業界で名の知れた2人の地面師「内田マイク」と「北田文明」が中心となって計画された。
この2人は、一見すると普通の不動産ブローカーやデベロッパーと見分けがつかないが、彼らの目的は土地を騙し取って金銭を得ること。
- 事件の背景
地面師たちは、佐妃子が入院して無防備になったタイミングを見逃さず、土地を偽りの取引に使い、積水ハウスから大金を騙し取るという大胆な計画を実行した。
「北田文明」
- 生い立ちと経歴:
1959年12月11日、長崎県生まれ。
学歴や幼少期については興味を示さず、ほとんど語らない。
国士舘大学中退後、広告業に従事。
不動産会社に興味を持ち、30歳頃から不動産業を始める。
不動産業では、売買仲介や転売を通じて利益を得る仕事を行っていたが、徐々に詐欺的な手法に手を染めていった。
- 地面師としての活動:
年収約2000万円。趣味はゴルフと銀座の高級クラブ通い。
クレジットカードを10枚所有し、ハワイにコンドミニアムを所有。
こうした派手な生活を送る一方、犯罪に手を染める地面師として業界で知られるようになる。
地面師グループのリーダーとして犯行の計画を指導し、積水ハウス事件を含む多くの詐欺に関与。
内田マイク
本名: 内田英吾:
日本人であり、かつては「内田英吾」と名乗っていた。
後に「マイク」と改名し、地面師の世界でその名を知られるようになる。
「池袋グループ」と呼ばれる地面師集団を率い、多くの詐欺事件に関与。
「地面師グループの構成:」
10人前後のチームで行動することが多い。
犯行計画を立案する主犯を頂点に、様々な役割分担がなされる。
例えば、なりすまし役の「手配師」、書類偽造担当の「印刷屋」や「道具屋」、口座を用意する「銀行屋」などが存在。
弁護士や司法書士などの「法律屋」も犯行に加担することがあり、複雑な詐欺組織が形成されている。
「積水ハウス事件と地面師の活動」
積水ハウス事件:
大手企業をターゲットにした詐欺で、北田や内田が中心となり、組織的に土地取引を装って大金を騙し取る。
詐欺の手口:
売り主になりすました偽装者を使い、偽造された書類で土地を売買する。被害者は、表向きの取引を信じて多額の資金を支払うが、実際の所有者は全く関与していない。
このように、北田や内田のような大物地面師たちは、巧妙に組織を運営し、大企業や個人から巨額の金を騙し取る犯罪を繰り返してきました。
彼らの巧みな手法と広範なネットワークが、地面師事件の一つの特徴となっています。
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