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会社法における「責任追及等の訴え」

 会社法における「責任追及等の訴え」について

 

1. 責任追及等の訴えとは

 「責任追及等の訴え」とは、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員、清算人などが不正行為を行い会社に損害を与えた場合、株主が会社に代わってこれらの者の責任を追及できる訴訟制度です。

 株主が会社の権利を代理行使し、会社の利益を守るために重要な手続きです。

 

2. 訴えの対象

 責任追及等の訴えが可能なケースは以下の通りです。

  • 発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等、清算人の責任追及
  • 違法な利益供与を受けた者に対する利益返還請求
  • 不公正価格で株式等を引き受けた者に対する差額支払請求

3. 訴えを提起できる株主

 訴えを提起できるのは、6か月以上前から引き続き株式を保有している株主です。

 ただし、公開会社でない株式会社の場合、この6か月という期間の制限はなく、株主であれば誰でも訴えを提起することができます。

 

4. 訴えの手続き

 訴えは、まず株主が会社に対して請求し、その請求に基づき会社を代表する取締役が訴えを提起します。

取締役に対する訴えの場合は、監査役が会社を代表して訴えを提起します。

 

5. 株主自身が訴えを提起する場合

 株主が訴えを請求したにもかかわらず、60日以内に会社が訴えを提起しない場合は、株主が自ら会社のために訴えを提起することができます。

 会社は、訴えを提起しない場合、その理由を株主に対して通知する義務があります。

 

6. 特例

 会社に回復不可能な損害が生じるおそれがある場合は、60日の期間を待たずに、株主は会社のために直ちに訴えを提起することができます。

 

まとめ

 「責任追及等の訴え」は、株主が会社に代わって役員等の不正行為を追及し、会社の損害回復を図るための重要な手段です。

 一定の条件を満たした株主は、この訴えを通じて、会社の利益を守り、不正行為に対する適切な責任追及を行うことが可能です。