競業避止義務と利益相反取引
1. 競業避止義務
株式会社の取締役は、自分または第三者のために、会社の事業と競業する取引を行う場合、事前に株主総会や取締役会の承認を受ける必要があります。
競業とは、会社の事業と同じ種類の事業に関与する行為を指します。
競業避止義務の目的は、取締役が会社の利益を損なうような行動を取らないようにするためです。
取締役会設置会社では、取引後に速やかに取締役会へ取引の重要な事実を報告する義務もあります。
2. 利益相反取引
利益相反取引は、取締役が会社と取引する際、自分や第三者の利益が会社の利益と対立する場合に適用されます。
これには次のような取引が含まれます。
- 取締役が自らまたは第三者のために会社と取引する場合(直接取引)。
- 取締役の債務を会社が保証する場合や、取締役以外の者との取引において会社と取締役の利益が対立する場合(間接取引)。
利益相反取引も、事前に株主総会や取締役会の承認を受ける必要があり、取引後は速やかに取締役会に報告する義務があります。
承認を得ないまま取引を行うと、その取引は会社と取締役の間では無効となりますが、 善意無過失の第三者には無効を主張できません(判例に基づく)。
まとめ
- 競業避止義務:
取締役が会社の競合事業を行う場合、株主総会または取締役会の承認が必要。
- 利益相反取引:
取締役が会社と自己の利益が相反する取引を行う場合、事前の承認と事後の報告が必要。
これらの規定は、取締役が自らの利益を優先して会社の利益を害さないようにするために設けられています。
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