持分会社における持分の譲渡は、他の社員の同意が必要であり、会社法の規定に基づいて慎重に取り扱われます。
「持分の譲渡に関する規定」
- 全員の承諾が必要:
持分会社の社員が持分を他人に譲渡する際、原則として他の社員全員の承諾が必要です(会社法第585条1項)。
これは、持分会社が少人数の信頼関係に基づいて運営されるため、社員の変更が事業運営に直接影響を及ぼすからです。
- 有限責任社員の例外:
業務を執行しない有限責任社員の場合、業務を執行する社員全員の承諾があれば、持分を譲渡することができます(会社法第585条2項)。
- 持分の譲渡による責任の継続:
持分を譲渡した社員は、その譲渡に関する登記を行う前に発生した会社の債務については、引き続き責任を負います(会社法第586条1項)。
ただし、登記後2年以内に請求や予告がなければ、その責任は消滅します(会社法第586条2項)。
- 持分会社の持分譲受け:
持分会社自身が社員の持分を譲り受けることはできません(会社法第587条1項)。
万が一持分会社が持分を譲り受けた場合、その持分は取得時に消滅します(会社法第587条2項)。
これは、株式会社が自己株式を取得しても消滅しない点と異なります。
- 注意点
持分の譲渡による定款変更が生じる場合もあり、その際には業務執行社員全員の同意が必要です(会社法第585条3項)。
定款で別段の定めをすることも認められており、持分の譲渡に関する柔軟な規定が可能です(会社法第585条4項)。
持分会社においては、社員間の信頼関係が重要であり、持分譲渡の際には慎重な手続きが求められます。
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