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持分会社における業務執行について

 持分会社における業務執行についての基本的なルールは以下の通りです。

 

「業務執行の基本ルール」

  • 原則として全社員が業務執行者:

 持分会社では、定款に特別な定めがない限り、全社員が会社の業務を執行します(会社法第590条1項)。

  • 業務の決定方法:

 社員が複数いる場合、業務執行に関する決定は原則として社員の過半数で行います(会社法第590条2項)。

  • 常務の執行:

 常務(通常の業務)については、各社員が単独で執行することが可能です。

 ただし、他の社員が異議を述べた場合は例外です(会社法第590条3項)。

 

「業務執行社員の指定」

  • 定款で業務執行社員を指定する場合:

 定款で特定の社員を業務執行社員として定めることができます。

 この場合、業務の決定は業務執行社員の過半数で行います(会社法第591条1項)。

 常務に関する規定は、業務執行社員に適用されます。

  • 支配人の選任・解任:

 支配人の選任や解任は、業務執行社員がいる場合でも、社員全員の過半数で決定されます(会社法第591条2項)。

 ただし、定款で別段の定めを設けることができます。

 

「業務執行社員の退社・辞任・解任」

  • 業務執行社員が退社した場合:

 定款で定められた業務執行社員が全員退社すると、定款における業務執行に関する規定は効力を失います(会社法第591条3項)。

  • 辞任と解任の条件:

 業務執行社員は、正当な事由がない限り辞任できません(会社法第591条4項)。

 業務執行社員の解任は、正当な事由がある場合に限り、他の社員の全員一致で行うことができます(会社法第591条5項)。

  • 定款による変更可能性:

 上記の規定は、定款で別段の定めを設けることが可能で、柔軟な規定を設けることができます(会社法第591条6項)。

 

 このように、持分会社では業務執行に関する権限が社員に広く与えられていますが、定款の規定次第で特定の社員に業務執行を集中させることも可能です。