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持分会社における社員の加入および退社

 持分会社における社員の加入および退社についての重要な規定は以下の通りです。

 

「社員の加入」

  • 持分譲受による加入:

 持分の全部または一部を譲り受けた者は、自動的に持分会社の社員になります。

  • 定款の変更による新たな社員の加入:

 持分会社は、新たに社員を加入させることができ、定款を変更することでこれを実行します(会社法第604条1項)。

 

 定款変更に基づき、新たに社員が加入する場合、その効力は定款変更時に発生します(会社法第604条2項)。

  • 出資未履行の場合:

 新たな社員が出資を完了していない場合、社員としての効力は出資の履行が完了した時点で発生します(会社法第604条3項)。

  • 加入前の債務に対する責任:

 新たに加入した社員は、加入前に生じた持分会社の債務に対しても弁済の責任を負います(会社法第605条)。

 

「社員の退社」

  • 任意退社:

 持分会社の存続期間を定めていない場合や、社員の終身の間存続する定めがある場合、社員は6ヶ月前に予告をして、事業年度終了時に退社できます(会社法第606条1項)。

 やむを得ない事由がある場合、社員はいつでも退社が可能です(会社法第606条3項)。

  • 法定退社(会社法第607条):

 以下の事由に該当する場合、法律上自動的に退社となります。

  1. 定款で定めた事由の発生
  2. 総社員の同意
  3. 死亡
  4. 合併により法人である社員が消滅した場合
  5. 破産手続開始の決定
  6. 法人の解散
  7. 後見開始の審判を受けた場合
  8. 除名

 このように、持分会社では社員の加入・退社に関する柔軟な規定が設けられており、特に新たな社員の加入には定款の変更が必要であること、また、加入後に過去の債務に対しても責任を負うことが特徴です。