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持分会社における業務執行社員

 持分会社における業務執行社員およびその代表権についての重要な点は以下の通りです。

 

1. 業務執行社員の代表権

 持分会社の業務執行社員は、原則として会社を代表します(会社法第599条1項)。

 業務執行社員が2人以上いる場合、それぞれが会社を代表することになります(会社法第599条2項)。

 定款または社員の互選により、業務執行社員の中から代表する社員を定めることができます(会社法第599条3項)。

 

2. 代表権の内容と制限

 代表する社員は、会社の業務に関するすべての裁判上または裁判外の行為を行う権限を持っています(会社法第599条4項)。

 代表権に制限を設けても、善意の第三者に対してはその制限を対抗できません(会社法第599条5項)。

 

3. 損害賠償責任

 持分会社は、代表する社員が職務を行う過程で第三者に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任を負います(会社法第600条)。

 

4. 社員との訴訟における代表

 持分会社と社員との間で訴訟が提起される場合、当該訴訟について持分会社を代表する者が存在しないときは、他の社員の過半数によって代表する者を定めることができます(会社法第601条)。

 

5. 社員の責任追及訴訟

 社員が持分会社に対して、他の社員の責任を追及する訴えを提起しようとする場合、持分会社がその提起を拒んだ場合には、請求した社員が直接会社を代表して訴えを提起できます。

 

 ただし、この訴えが不正な目的を持つ場合は例外です(会社法第602条)。

 

まとめ

 持分会社における業務執行社員は、会社を代表する重要な役割を担っており、特に代表権の行使に制限が加えられていても、善意の第三者には対抗できないことが特徴です。

 

 また、社員間や会社との間の訴訟に関する特別な規定も存在し、代表する者がいない場合には社員間で決定する仕組みが設けられています。