労働時間に関する規定は、労働者が複数の事業場で働く場合や、業務の性質に応じてさまざまな取り扱いがされます。以下は、その詳細です。
1. 複数事業場での労働時間の通算
労働者が異なる事業場で勤務する場合、労働時間は通算して計算されます。
例えば、労働者が甲事業所で5時間、乙事業所で5時間労働した場合、1日の労働時間は合計10時間となり、法定労働時間である8時間を超えた分(2時間分)には割増賃金が支払われなければなりません。
2. 坑内労働における労働時間
坑内労働に関しては、労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までの時間が、休憩時間を含めて労働時間とみなされます。
ただし、休憩時間に関する以下の規定は適用されません:
- 休憩時間を一斉に与える規定(労働基準法第34条第2項)
- 休憩時間を自由に利用させる規定(同第3項)
3. みなし労働時間制
みなし労働時間制は、労働時間の算定が難しい場合に適用される制度です。
この制度では、労働者が業務に従事した場合、所定労働時間を労働したものとみなします。
みなし労働時間制は、以下の3種類に分けられます:
- 事業場外労働に関するみなし労働時間制
- 労働者が事業場外で業務を行い、労働時間を正確に算定することが困難な場合に適用されます。
- 専門業務型裁量労働に関するみなし労働時間制
研究開発や特定の専門業務に従事する労働者が、自らの裁量に基づいて業務を遂行する際に適用されます。
企画業務型裁量労働に関するみなし労働時間制
経営に関する企画・立案業務を行う労働者が、自らの裁量で業務を遂行する際に適用されます。
4. 休憩・深夜業・休日の規定
みなし労働時間制が適用される場合でも、休憩時間、深夜業、休日に関する規定は適用されます。
したがって、これらの部分は通常の労働時間と同様に扱われ、労働者の権利が保護されます。
コメントをお書きください