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当事者能力とは

 当事者能力とは、民事訴訟において訴訟の当事者となる資格のことを指します。

 これが欠如している場合、裁判所は訴えを適法に取り扱うことができず、不適法として却下する必要があります。以下が当事者能力の主要なポイントです。

 

1. 当事者能力の意義

 当事者能力とは、民事訴訟の当事者として裁判所に訴えを提起し、または訴えを受ける一般的な資格のことです。これは裁判手続きの大前提となります。

 当事者能力が欠けている場合、裁判所は本案に入ることができず、訴訟が不適法として却下されます。

 

2. 当事者能力がない場合の取り扱い

 当事者能力がない場合でも、裁判所が本案の判決をしてしまった場合は、控訴・上告の理由となりますが、再審事由にはなりません。

 ただし、訴訟能力(訴訟行為を適法に行う能力)が欠けている場合は再審事由となり、確定した判決でも取り消すことができます。

 

3. 自然人の当事者能力

 自然人(個人)は民事訴訟の当事者になることができます。

 胎児は原則として当事者能力がありませんが、不法行為に基づく損害賠償請求や相続・遺贈に関しては、「既に生まれたもの」として扱われ、これらの法律関係の訴訟においては当事者能力を持ちます。

 

4. 法人の当事者能力

 法人も当事者能力を持ちます。

 解散した法人は、精算の目的の範囲内で存続するものとみなされ、精算が完了するまでの間は当事者能力を維持します。ただし、精算が完了すると当事者能力を失います。

 ただし、精算完了の登記がなされても、未処理の債権や精算事務が残っている場合は、当事者能力が維持されるという判例があります。

 

5. 法人でない社団・財団の当事者能力

 法人でない社団や財団も、代表者や管理人が定められている場合は、当事者能力を持ちます。

 この場合、定款や寄付行為などで根本規則が定められており、代表機関の選任方法などが明記されている必要があります。

 

 このように、当事者能力は訴訟を進める上で重要な要件であり、当事者としての資格が認められない場合は、訴えが却下されることになります。