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弁論主義とは

 弁論主義とは、民事訴訟において、訴訟の資料を集めて提出する責任が当事者にあるという考え方です。

 これは当事者の主張や提出した証拠に基づいて裁判が進行することを意味し、裁判所が独自に事実を調べたり、証拠を収集することは原則としてありません。

 

 弁論主義は3つの主要な要素に分けられます。

  • 第一テーゼ:

 当事者が主張しない事実を裁判所は採用してはならない

 

 裁判所は、当事者が主張していない事実を判決の基礎にできません。

 例えば、時効が成立していても、当事者が時効を主張しなければ、裁判所はそれを考慮しません。

  • 第二テーゼ:

 自白の拘束力

 

 当事者間で争いのない事実は、裁判所がそのまま事実として採用します。

 自白が成立すると、それに基づいて判決が下され、裁判所はそれに反する判断をすることができません。

  • 第三テーゼ:

 職権証拠調べの禁止

 

 当事者が申し出た証拠だけが裁判の資料となり、裁判所は自ら証拠を収集することができません。 

 これにより、裁判の公平性が保たれます。

 

 この弁論主義に対する例外として、職権探知主義が存在します。

 これは、特定の公益性が高い問題(例:専属管轄や訴訟能力の有無など)に関して、裁判所が職権で証拠を調べることが認められる場合です。