自由心証主義は、民事訴訟において、証拠の評価や事実認定を裁判所の自由な判断に委ねる考え方です。
これは、提出された証拠を基に裁判官がどのように心証を形成し、最終的な判決を下すかを自由に決められるという特徴を持っています。
弁論主義の下で、当事者が証拠を提出しなければならないというルールはありますが、提出された証拠がどのように扱われるか、つまりその信ぴょう性や価値をどのように評価するかは裁判所の判断に委ねられます。これが自由心証主義の中心的な考えです。
具体的には、以下のような点が含まれます:
- 証拠の排除の自由
裁判所は、提出された証拠を「見る必要がない」と判断し、証拠を排除することができます。
- 証拠の評価の自由
提出された証拠の信ぴょう性や、どの程度事実認定に役立つかを裁判所が自由に判断します。
当事者の様子や証拠の全体的な状況を踏まえ、裁判所は独自の判断で事実を認定します。
- 不利益供述の扱い
当事者が尋問で不利な供述をしたとしても、これは裁判所を拘束する「主張」ではなく、単なる証拠の一つとされます。
裁判所はこの供述を基に心証を形成し、最終的な判断を行います。
- 証拠調べの撤回不可
証拠調べが開始されると、その後に証拠を撤回することはできません。
裁判所が一度形成した心証を覆すことは難しいため、提出する証拠には慎重さが求められます。
対照的に、法定証拠主義では、証拠の評価基準が法律で定められており、裁判官が自由に証拠を評価することに制限が加えられます。
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