訴えの変更とは、訴訟が係属中の状態で、原告が当初の訴状に記載した「請求の趣旨」や「請求の原因」を変更し、裁判の審理対象を変更する手続きのことです。
「訴えの変更の要件」
訴えの変更が認められるには、以下の要件が必要です:
- 請求の基礎に変更がないこと:
訴えの変更があっても、基本的な争点や事実関係が変わらないことを意味します。
ただし、被告が同意すれば、請求の基礎に変更があっても訴えの変更が認められます。
- 口頭弁論終結前に行うこと:
訴えの変更は、裁判が終了する前であればいつでも行うことができます。
- 手続きの遅延が著しくないこと:
訴えの変更が裁判手続きを著しく遅延させる場合は認められません。
「訴えの変更の手続き」
訴えの変更は、新しい請求を追加するため、書面によって行う必要があります。
しかし、請求の原因のみを変更する場合は書面を必要としない場合もあります。
また、請求を縮小する場合は「一部取下げ」として、書面によらなくてもよいとされた判例もあります。
簡易裁判所では、口頭で訴えの変更が可能です。
「訴えの変更が認められない場合」
裁判所は、訴えの変更が不当と認められる場合、申立てや職権により「訴えの変更を許さない」という決定をすることができます。
「訴えの変更と時効の関係」
訴えの変更により新たな請求がされた場合、時効の中断効果は新請求に関する書面を裁判所に提出した時点から生じます。
当初の訴えの提起時にさかのぼって時効が中断されるわけではない点に注意が必要です。
「訴えの変更と反訴の違い」
訴えの変更は反訴(被告が原告に対して新たな請求を行う手続き)と似ていますが、若干異なる点もあります。
例えば、訴えの変更は原告が自身の請求を修正するものであるのに対し、反訴は被告が新たな請求を原告に対して行う点で異なります。
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