訴訟上の和解とは、紛争当事者が裁判官の前で、双方が譲歩して合意し、紛争を解決する方法です。
実際の民事訴訟では、この方法によって裁判が終了することが多く、判決に至る前に和解で解決することは、当事者と裁判所の双方にとってメリットが多いです。
「訴訟上の和解の特徴」
- 和解の目的:
紛争を解決するため、双方が自らの立場を一部譲歩し、合意を図ることです。
和解は、当事者が自ら解決に合意するため、判決に比べて感情的な摩擦が少なく、合意内容の履行もスムーズに行われやすいという特徴があります。
「和解の要件」
- 和解の対象となる権利や法律関係は、当事者が自由に処分できるものであること。
- 公序良俗に反しないこと。
- 訴訟が係属していること。
- 当事者が訴訟能力を有し、代理人がいる場合は、特別の授権や委任があることが必要です。
「和解のタイミング」
訴訟のどの段階でも和解を試みることが可能です。
口頭弁論期日や弁論準備手続期日で和解が成立することもあり、判決が出る前であれば、終局判決後でも和解が可能です。
「和解調書の作成」
和解が成立すると、裁判所は「和解調書」を作成します。
この和解調書は公文書として扱われ、確定判決と同じ効力を持ちます。
したがって、和解調書に基づいて強制執行の申立ても可能です。
「和解条項と出廷の扱い」
- 片方の当事者が出廷していない場合:
民事訴訟法第264条に基づき、裁判所が提示した和解条項案を出廷していない当事者が書面で受諾し、もう一方の当事者が口頭弁論期日などで同じく受諾すれば、和解が成立したものとみなされます。
- 両当事者が出廷していない場合:
民事訴訟法第265条に規定され、当事者双方が共同で申立てを行うことで、裁判所が和解条項を定め、それが当事者に告知されれば和解が成立します。
告知前に申立てを取り下げることは可能ですが、告知後は和解内容に不服があっても撤回は不可能です。
結論
訴訟上の和解は、当事者が自ら合意する形で紛争を解決するため、判決よりも柔軟かつ迅速に紛争を解決できる手段です。
また、和解調書は確定判決と同じ効力を持つため、強制執行も可能です。
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