反訴とは、訴えられた被告が原告に対して新たな訴えを提起することを指します。
つまり、被告が受動的な立場から能動的な立場へと転じ、原告に対して請求を行うことです。
「反訴の具体例」
たとえば、原告が売買代金を請求する訴えを提起した場合に、被告がその売買の目的物の引渡しを求めて反訴を提起するような場合です。
「反訴の要件」
反訴を提起するための要件は以下の通りです:
- 本訴の請求または防御方法に関連すること:
反訴は、本訴(原告の請求)やそれに対する被告の防御方法と関連があれば認められます。
これは、訴えの変更と異なり、反訴の要件がやや緩やかです。
- 口頭弁論終結前に行うこと:
反訴は、口頭弁論の終了までに提起する必要があります。
- 専属管轄に属しないこと:
反訴の対象が他の裁判所の専属管轄に属する請求ではないことが必要です。
- 手続きの遅延を招かないこと:
反訴の提起によって裁判手続が著しく遅延しないことも要件の一つです。
「反訴の手続き」
地方裁判所以上の裁判所では、反訴は書面によって提起しなければなりませんが、簡易裁判所では口頭で提起することが可能です。
本訴と反訴は同一の訴訟手続で審理されるため、裁判所は口頭弁論の分離や一部判決を行うことができます。
「控訴審における反訴」
控訴審において反訴を提起するためには、相手方の同意が必要です(民事訴訟法第300条)。
控訴審での反訴提起は原告に防御の機会を奪う可能性があるため、この規定が設けられています。
「訴えの変更との違い」
反訴と訴えの変更は似た点が多いですが、いくつかの違いがあります:
- 訴えの変更は、請求の基礎が同一であることが必要ですが、反訴は本訴と関連する請求であれば足り、より緩やかな要件となっています。
- 控訴審では、訴えの変更に相手方の同意は不要ですが、反訴には同意が必要です。
「反訴のみの審理」
もし本訴が取り下げられた場合でも、反訴が提起されている場合は反訴のみが審判の対象となり、訴訟は続行されます。
まとめ
反訴は訴えの変更と要件が似ていますが、異なる点も多いので、訴訟の進行状況や審級によって適切に区別することが重要です。
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